ランディー・ニューマン「セイル・アウェイ」(1972年)
久しぶりに名盤アワーといこう。ブライアン・ウィルソンがインタビューに応えて3枚の作品を選んだうちの最初がこれ、ということもあって、聴いてみた。ランディー・ニューマンなら、昔から知っている。そう、スリー・ドッグ・ナイトがカバーし全米NO.1とした「ママ・トールド・ミー」、ハリー・ニルソンは「ニルソン・シングス・ニューマン」を1970年には発表している。「カウボーイ」はどちらもカバーしている。ニルソンの方に軍配は上がるが。わたしが「ランディー・ニューマン・ライブ」を購入したのは、いつのことだったろうか?ナイトクラブでのライブという雰囲気で(ニューヨークのビター・エンドというところらしい)、ポロンポロンとピアノ弾き語り、訥々と歌う。あまりに地味で、だみ声だし、かつ英語の歌詞カードを見ても対訳を見ても、その軽妙さや諧謔、皮相的なものが残念ながら感じ取れるだけの感性がこちらになかったものだから、そのうちに聴くこともなくどこかに追いやられていたというのが真相。
先ほどのブライアンのインタビュー記事が載ったのは、確か「スマイル」を発表した直後だろうから6年くらい前か、早速「セイル・アウェイ」を買ってきて聴いてみた。表題曲が最初の曲で、かつボーナストラックとして別バージョンが最後を飾る。これを比較するとなかなか面白い。ボートラの方は、early versionであって歌の趣旨が真っ正直に表現されてしまっているのだが、しかし、完成曲の持つ表現力には残念ながら遠く及ばない。
歌詞を見てみよう。
In America you'll get food to eat
Won't have to run through the jungle
And scuff up your feet
You'll just sing about Jesus and
It's great to be an American
Ain't no lions or tigers-
ain't no mamba snake
Just the sweet watermelon
Climb aboard, little wog-
Sail away-sail away
We will cross the mighty ocean
Sail away-sail away
We will cross the mighty ocean
In America every man is free
To take care of his home
You're all gonna be an American
Sail away-sail away
We will cross the mighty ocean
Sail away-sail away
We will cross the mighty ocean
叔父のエミール・ニューマンが指揮する壮麗で厳粛なオーケストラサウンドに乗せて、大海に船出する雄々しい歌かと思ったら、これがなんと奴隷貿易の歌。これほどの美しいメロディーに乗せて唄う歌が奴隷制度を皮肉った歌なのだ。
アメリカそのものの成り立ちもしくは、ヨーロッパの帝国主義・覇権主義・植民地政策を3分ほどの曲にまとめて否定もしくは非難してしまう、聴いている方は感激のあまり涙せずにはいられない。


by おぢさんRock委員会
ロンリー・サーファー